ほうれん草は、β-カロテン、ビタミンC、鉄などの栄養素が豊富に含まれています。
料理に入れると彩りも豊かになるので、積極的に取り入れたい食材です。
しかし、毎回アク抜きのために下茹でしなくてはならないのは面倒ですよね。
今回は、ほうれん草を生食するのは危険なのか、アク抜きせず料理などに入れても大丈夫なのかについて紹介します。
ほうれん草の生食は危険?
なんとなく、ほうれん草は加熱して食べる物であると認識されている方も多いですよね。
ではなぜ、多くの人がほうれん草は加熱する物だと考えているのでしょう。
ほうれん草を生食すると危険なことがあるのでしょうか?
シュウ酸に注意すれば生でも大丈夫
ほうれん草には、えぐみ・苦味を強く感じさせるアクが多く含まれています。
このアクがシュウ酸という成分です。
シュウ酸は、カルシウムや鉄の吸収を妨げる働きがあります。
また、シュウ酸が体内のカルシウムと結びつくとシュウ酸カルシウムに変わり、これが結石の原因になるのです。
腎臓でできた結石が尿路に引っかかり、尿路結石という病気になれば、激しい痛みを伴います。
アク抜きをしていない生のほうれん草にはシュウ酸が多く含まれているため、生食は危険であるというイメージがあります。
しかし、ほうれん草は大量に食べる物ではないので必要以上に心配することはありません。
過剰に摂らなければ、生食も可能です。
毎日摂取するのは危険
生食が可能だと言っても、毎日のように生で摂取するのは大変危険です。
なぜなら、ほうれん草の1回の摂取量が少量だとしても、毎日食べていればシュウ酸は体内に蓄積されていくからです。
また、シュウ酸はほうれん草以外にもキャベツやブロッコリーなど他の野菜にも含まれています。
別の野菜からもシュウ酸が摂取されることを考えると、ほうれん草を毎日生食するのはおすすめしません。
毎日ほうれん草を生食することはやめた方が良いです。
ほうれん草のシュウ酸はどれぐらい?
ここまでで、シュウ酸が体に良くない物だということが分かってきましたね。
では、ほうれん草にはどれくらいのシュウ酸が含まれていて、1日にどのくらいなら食べても大丈夫なのか気になりますよね。
次に、ほうれん草に含まれるシュウ酸の量と、1日の摂取目安量について紹介していきます。
ほうれん草に含まれるシュウ酸量
ほうれん草100gにおけるシュウ酸の含有量は、0.8gほどです。
キャベツやブロッコリーが約0.3gと言われているので、野菜の中ではほうれん草には多くのシュウ酸が含まれていることが分かります。
しかし、多くの人が毎日飲んでいるお茶にもシュウ酸は含まれているのです。
緑茶の中でも、玉露には1.3g、抹茶・煎茶には1.0g程度含まれています。
それを考えると、ほうれん草に含まれるシュウ酸の量は、それほど多くないと言えます。
生のほうれん草を一度に何kgも食べなければ問題ありません。
ほうれん草の1日の摂取目安量
生のほうれん草の摂取量は、1日1束を目安にしましょう。
一般的にスーパーで売られているほうれん草が1束200g程度なので、1人で1日1束食べるのは難しいですよね。
ですので、結石ができやすい体質でなければ、そこまで神経質に考えなくても大丈夫であるといえます。
ちなみに、抵抗力を高めて風邪予防の役割を果たしてくれるビタミンAは、ほうれん草を1日100g食べれば必要な量を摂取可能です。
1日に必要なビタミンCも、やはり100gのほうれん草を油で調理して食べれば摂取できます。
ほうれん草のシュウ酸対策
毎日ほうれん草を大量に食べなければ問題ないシュウ酸ですが、体に良くないものなので極力摂取したくないですよね。
また、シュウ酸はえぐみや苦味の原因となる物質なので、取り除くことでほうれん草をより美味しく食べることができます。
そこで、シュウ酸が気になる場合の対策方法をご紹介します。
シュウ酸が気になる場合の3つの対策
ほうれん草のシュウ酸を減らす方法は3つあります。
まず1つ目は、ほうれん草を茹でることです。
鍋にたっぷりのお湯を沸かし、塩(お湯の0.5%)を加えます。
ほうれん草の茎が根本からお湯に浸かるように入れ、徐々に葉の部分まで入れたら約1分間茹でましょう。
ほうれん草に含まれるシュウ酸は水溶性なので、水に溶け出す性質があります。
そのため、ほうれん草を茹でることでシュウ酸を減らすことが可能です。
茹で上がったほうれん草を冷水にさらすことで、よりシュウ酸を減らすことができます。
またそれと同時に、ほうれん草の綺麗な緑色を保つ役割も果たしてくれます。
2つ目は、冷水に浸す方法です。
アク抜きのためには茹でなくてはいけないイメージがありますが、実は冷水に浸すだけでもOKです。
ほうれん草を洗った後、食べやすい長さにカットします。
ボールに水を溜め、カットしたほうれん草を浸けて10分〜20分ほど待ちます。
途中で2〜3回水を取り替えるとより効果的です。
3つ目は、サラダ用のほうれん草を使用することです。
最近では品種改良により、シュウ酸の含有量が少ない生食用の品種も出回っています。
サラダほうれん草なら、アク抜きが面倒だったり時間がなかったりする時でも、すぐに使えて便利ですね。
カルシウムと同時摂取もおすすめ
カルシウムの積極的な摂取は、尿管結石の予防に効果的です。
シュウ酸は腸の中でカルシウムと結合して、便として排出されます。
そのため、シュウ酸の吸収を抑制することに繋がるのです。
カルシウムは、1日に600〜800mgを目安に摂取することが推奨されています。
牛乳で言えばコップ1杯、ヨーグルトならば100〜150g程度です。
ほうれん草を生でスムージーにするのは?
近年、様々な野菜や果物を入れたスムージーを朝食として飲んでいる人も多いですよね。
スムージーにほうれん草を入れる場合は、どうすれば安全に、美味しく飲めるのでしょうか。
アク抜きすれば問題ない
生のほうれん草をスムージーに入れると、えぐみ・苦味が強過ぎてとても飲みにくいです。
アク抜きをして、シュウ酸によるえぐみや苦味を取り除いたほうれん草を使用することで、飲めるようになります。
フルーツと一緒で飲みやすさアップ
ほうれん草をアク抜きすれば、シュウ酸を減らす事ができます。
しかし、スムージーにアク抜きをしたほうれん草を使用しても、まだ苦味が残っている場合があります。
そんな時は、フルーツを一緒に入れることで苦味を抑えることができます。
特に、バナナやりんご、みかんやキウイなど、味が濃いフルーツがおすすめです。
またフルーツの他にも、牛乳や豆乳、アーモンドミルクなどを加えると飲みやすくなります。
ほうれん草の生食レシピ
生のほうれん草は、どのような料理に使えるのでしょうか。
最後に、ほうれん草の生食レシピを2つご紹介します。
どちらもとても簡単なので、ぜひお試しください。
カリカリベーコンと生ほうれん草サラダ
材料は、サラダほうれん草(1束)、厚切りベーコン(100〜150g)、岩塩(小さじ1)、オリーブオイル(大さじ3)、にんにく(1片)、ブラックペッパー(適量)です。
1.水洗いしたほうれん草を5cm幅にカットし、水切りしておきます。
2.にんにくは薄切りし、ベーコンは拍子切りにします。
3.フライパンにオリーブオイルを熱し、にんにくを炒めます。
4.そこにベーコンを入れて、岩塩を振りかけます。
5.ベーコンに火が通ったらお皿に盛り付けておいたほうれん草の上に回しかけ、仕上げにブラックペッパーを振りかけて完成です。
全体をよく混ぜ、ほうれん草にオリーブオイルをしっかりと絡めて食べると美味しいです。
混ぜるだけのほうれん草ナムル
材料は、サラダほうれん草(2束)、お好みの油・鶏ガラスープの素・白炒りごま(少々)です。
1.水洗いしたほうれん草を、食べやすい長さにカットして水にさらします。
2.軽く絞って水気を切ったほうれん草に調味料をかけたら完成です。
とても簡単ですよね。
ほうれん草を水にさらすことで、シャキッと美味しくなりますよ。
まとめ
ほうれん草を生食するのは危険?という疑問について、毎日大量に食べなければ問題ないことが分かりました。
しかし、できればあく抜きしてシュウ酸を減らしたりサラダほうれん草を使用したりして、安全に、美味しく食べたいですよね。
ほうれん草は生食すると危険なのか気になったときには、ぜひ今回の内容を参考にしてみてください。